おもしろいが、おもしろい!

~知のリバースエンジニアリングのすすめ~

新聞コラムをリバースエンジニアリングする!(4)

前回まとめたコラムの概要は・・・・


前回、コラムの概要を以下のように考えました。

  • 第一段落では、映画「アバター」の内容を紹介し、アバターが可能性を広げる話として説明します。
  • 第二段落で、現実世界で「アバター」を使うメタバース技術が注目されている話を書きます。フェイスブックや他のスタートアップ企業が技術開発をしていることを紹介し、メタバース技術が可能性を大きく変える技術であることを説明します。
  • 第三段落では、まず、ヤフーの記事の紹介をし、在宅勤務が新しい当たり前になっていく時代であることを書きます。そして、新しい働き方には、劇的な生産性向上の可能性があり、それが実現できた会社や人には大きなチャンスをもたらすことを主張します。在宅勤務が生産性を大きく改善する可能性については第二段落の内容と関連付けることが必要です。
  • 第四段落では、まず、一方で取り残される会社や人も出てくる可能性があることについて注意喚起をします。一人一人が意思して工夫をすべきであることを説明して締めます。第一段落の映画「アバター」の話を関連付けます。

 

実際にコラムを書いてみると・・・・


上記の概要をベースとして「春秋」風のコラムを書いてみました。

  • 2009年公開の「アバター」は、ジェームスキャメロン監督が人類の無益な戦いを3Dで描いた作品だ。主人公は、戦傷で下半身不随であったが、神経を接合した人工生命体アバターに乗り移り自在に活動することが可能となる。公開当時は最先端の3D技術に圧倒されたことを記憶している。
  • 最近ではアバターの技術が映画のレベルに近づいているようだ。アバターを使って仮想空間や現実世界での様々な活動ができるメタバースVRやAR技術により実現に向かっている。ネット上だけでなく、近未来ではアバターロボットにより離れた現場の作業さえ可能となるようだ。
  • ネット企業の代表であるヤフーが東京都内のオフィスを4割削減と報道されている。在宅勤務の生産性向上の可能性を感じている企業も多く後戻りはないだろう。メタバースさながらに働く場所の制約が無くなれば、企業側は全世界から多様な人材を集められ、働き手も自分の能力を開花させる場を世界に求める時代がくるのではないか。
  • ただし、技術の進展だけでは解決できない課題も見えてきている。孤立感から心身の不調を訴える人もいるし、かつて、アイデアの源泉だったワイガヤ会議はネットではやりにくい。「アバター」の最後では、主人公はアバターと一体となり異星の民族ナヴィに迎えられ真に生きる場所を見つける。効率だけでない人同士のつながりを持てる新しい働き方を見つけたい。

 

コラムを書いた感想・・・・


コラムとしての出来不出来はともかく、上記の概要をガイドとすることで、書くことに困ることはありませんでした。

「起承転結で書け」とよく言われますが、そのアドバイスだけで書ける人はほとんどいないと思います。リバースエンジニアリングして、目的の構造から構成を練り、それに従って材料を集めることで、それまで書けない思い込んでいた企画書などが書けるようになります。この方法はかなりパワフルと思います。

 

是非、お試しください。

新聞コラムをリバースエンジニアリングする!(3)

コラム「春秋」の構造からコラムを書いてみる・・・・


前回、2021/8/18~2021/8/20の3日間の日経朝刊のコラム「春秋」の基本的な構造を解析してみました。以下のようになっていました。

  • 第一段落:第三段落の著者の考え方をサポートする事例などを紹介
  • 第二段落:第一段落を展開し、第三段落につなげる
  • 第三段落:報道内容等に対する著者の基本的な考え方・スタンスを提示
  • 第四段落:基本的な考え方から、現状の評価や希望や願いを提示

この基本構造を使って「春秋」風のコラムを書くことをしてみましょう。(これは、社内の営業提案書や企画書などで評価の高いものをリバースエンジニアリングして構造を明らかにしたのちに参考にして書く時も同じプロセスです。)

 

これは私の想像ですが、何を書くかを決めてから、つまり、第三段落や第四段落の概要を決めてから第一、第二段落の材料を集めているのではと思います。

 

言いたいことを決める・・・・


まず、何を書くかですが、時事関連で書くとすると、やはり新聞やTVやレポートをみて何か強く感じたことや意見を持ったことを書くのがいいと思います。

  • 今後こう変化するにちがいない
  • こうあるべきだ
  • これはおかしい
  • 賞賛すべきことだ
  • ・・・

のようなものをまず見つけます。例えば、新聞をみていたら「ヤフー東京拠点縮小 4割減 進む在宅、オフィスに転機」という記事を見つけました。この記事を読んで次のように思いました。

  • 昨年、コロナにより在宅勤務が急速に広がった。ヤフーは今後も在宅勤務が続くと判断したのだな。(不動産産業は、何か手を打つ必要がある)
  • 在宅勤務は、物理的な勤務場所という制約を取り去った新しい働き方。やり方によっては劇的な生産性向上の可能性もあるのではないか。(スマートフォンの普及で我々の生活が大きく変わったように)
  • 会社からすれば、今まで不可能だった地理的に離れた優れた人材の活用が可能となり、働き手側も、自分の能力を発揮できる地理的なエリアが一挙に広がる。
  • ただ、現在主流のWeb会議で打ち合わせをする方法だけでは、生産性向上には、つながらないのではないか。
  • 会社も働く人も意識を変える必要がある。いままでの当たり前を否定したら、どんな新しい価値を創造できるかという発想で行動すべき。
  • やりがいをさらに感じたり、新しいビジネスチャンスを発見したりできる可能性はあるが、一方で、新しい働き方に慣れない人や会社が、取り残されることも起こりうるだろう。
  • この変化は、政府の音頭取りを待つのでなく、一人一人ができることから、工夫をして変わっていくのが現実的なのではないか。現場が強いと言われる日本の特性を発揮できるのでないか。

 

コラムを後半を考える・・・・


以上の言いたいことのアイデアから後半部分を考えてみると

  • 第三段落では、まず、ヤフーの記事の紹介をし、在宅勤務が新しい当たり前になっていく時代であることを書きます。そして、新しい働き方には、劇的な生産性向上の可能性があり、それが実現できた会社や人には大きなチャンスをもたらすことを主張します。
  • 第四段落では、まず、一方で取り残される会社や人も出てくる可能性があることについて注意喚起をします。一人一人が意思して工夫をすべきであることを説明して締めます。

 

コラムの前半を考える・・・・


次は、前半です。在宅勤務と同様に、地理的な制約をなくすものとして、自分のアバターを使って仮想空間に入り込んで活動するメタバースが注目されています。仮想空間でない現実の世界に対しても、ロボットを使って、物理的な現場に行かずとも同様な活動が可能となる未来も近づいているようです。また、「アバター」といえば、映画の「アバター」を連想する人も多いと思いますね。これを使って、前半は次のようにしたらどうでしょうか。

  • 第一段落では、映画「アバター」の内容を紹介し、アバターが可能性を広げる話として説明します。
  • 第二段落で、現実世界で「アバター」を使うメタバース技術が注目されている話を書きます。フェイスブックや他のスタートアップ企業が技術開発をしていることを紹介し、メタバース技術が可能性を大きく変える技術であることを説明します。

 

コラムの概要をまとめる・・・・


書き始める前に、概要を見直します。前半の情報をうまく第三、第四段落にも反映させることが必要と思います。第三段落の在宅勤務が生産性を大きく改善する可能性については第二段落の内容と関連付けることが必要と思います。

第四段落には、第一段落の映画「アバター」の話を関連付けるといいと思います。さて、ここまで準備ができたら、次はコラムを書くだけです。

 

次回では、上記の段落別の概要を使ってコラムを書いてみます。

 

 

新聞のコラムをリバースエンジニアリングする!(2)

コラム「春秋」に共通する点は・・・・


2021年8月18日~20日の3日分のあらすじを前回書きましたが、3日分のコラムで共通する点に気付かれた方もいらっしゃると思います。

まず、気付くのは、どのコラムも後半の第三と第四段落に著者の主張や言いたいことが書かれていることです。細かく見ていくと

  • 第三段落は、報道内容等に対しての著者の基本的な考え方が書かれ
  • 第四段落は、基本的な考え方から、現状の評価・希望や願いを示している

と見えます。

前半は、後半に向けての導入です。

  • 第一段落は、第三段落の著者の考え方をサポートする事例などを紹介し
  • 第二段階は、第一段階を展開し、第三段落につなげる役割をしています。

 

コラム「春秋」の構造をまとめると・・・・


まとめると、基本的な構造は以下のようになっています。

  • 第一段落:第三段落の著者の考え方をサポートする事例などを紹介
  • 第二段落:第一段落を展開し、第三段落につなげる
  • 第三段落:報道内容等に対する著者の基本的な考え方・スタンスを提示
  • 第四段落:基本的な考え方から、現状の評価や希望や願いを提示

新聞のコラムなので、報道内容などが関連して書かれることが多く、ポジション的には第一段落や第三段落で使われるケースが多いと思います。

起承転結でいうと、第一・第二段落は、「起」「承」として、コラムの導入の役割を果たし、第三段落で著者の主張が展開されるので、この段落は正に「転」となりますね。最後に第四段落でしめて「結」としてコラムが完了するわけです。

 

次回は、この構造を使ってコラムを書いてみることをしてみたいと思います。

 

新聞のコラムをリバースエンジニアリングする!(1)

新聞コラムを分析してみる・・・・


「社内報に何か書いて」と言われたことはありませんか?
新聞のコラムのような気の利いた文章を書いてみたいけど、そう簡単には書けないよ・・・・と思ってしまいますよね。

確かに、プロと同じレベルにするには、経験が必要と思いますが、リバースエンジニアリングをすることで、かなり近づけることが可能です。あとは練習のみです。今回は、新聞コラムを分析してみたいと思います。

 

日経新聞の朝刊コラム「春秋」をリバース・・・・


新聞コラムの分析対象として、日経新聞のコラム「春秋」としたいと思います。「春秋」は、日経新聞朝刊の一面にある時事を題材としたコラムで、読まれておられる方は多いと思います。

読んでいただくと、このコラムは、4つの段落で構成され、起承転結の構成で、読みやすいコラムというのがお分かりいただけると思います。(電子版はこちらにあります。「春秋」のニュース一覧: 日本経済新聞 (nikkei.com) 無料会員でもいくつか見ることができます。)

 

時事に関連したものが多く、このような内容であれば、社内報でも読み手にインパクトがあると思います。ただ、コラムを書くのに基本構成の「起承転結」というだけでは、どう書いていいかわかりません。そこで、より深く分析してみます。

 

まずは、最近のコラムの内容です。

 

2021年8月18日の「春秋」を分析・・・・ 


2021年8月18日の「春秋」は次のような内容です。

  • 第一段落:1889年8月の紀伊半島での豪雨のことを「破雲雨(はうんうと読むそうです)なり」と呼んでいる記録がある。
  • 第二段落:この紀伊半島での「破雲雨」では、和歌山で1200人超が死亡。奈良県では家や田畑を失った多くの村民が北海道に移住。
  • 第三段落:先週からの大雨による災害をあげ、備えの大切さと難しさを改めてかみしめる。
  • 第四段落:「すすき梅雨」をあげ、しっとりと降る雨が人間には有難い。

 

2021年8月19日の「春秋」を分析・・・・ 


2021年8月19日の「春秋」は次のような内容です。

  • 第一段落:アフガンの首都カブールの空港で飛び立とうとする米軍機に大勢の市民が取りすがった。
  • 第二段落:タリバンの厳格な統治や不自由な暮らしの記憶に加え、今後の迫害を恐れる人もいる。
  • 第三段階:アフガンを二度とテロ組織にしないため、国際社会は多大な努力と犠牲をはらってきたが、日本も力をつくしたい。
  • 第四段落:アフガンは親日的で、日本が戦後平和な国となったことを知っている。このアドバンテージを未来につなげらないか。

 

2021年8月20日の「春秋」を分析・・・・ 


2021年8月20日の「春秋」は次のような内容です。

  • 第一段落:戦後教育の悪しき平等主義の象徴として「手つなぎゴール」という都市伝説がかつてよく語られた。
  • 第二段落:ワクチン接種にも「みんな一緒」の感覚が影響しているかもしれない。
  • 第三段階:欧米では、接種が完了した人から行動制限を緩和する方法で、経済を回しメリットを示しさらに接種を促している。日本も考えを整理すべき。
  • 第四段落:ワクチン接種は、「みんな一緒」主義ばかりでなく、若者や働き盛りへの対応が遅れ、我慢を強いる策は長引いている。希望を持てずゴールは遠くなるばかり。

 

次回は、上記の内容のコラムの構造を統合してみます。

目的をサブ目的に分解する!

上司を唸らせる資料を作るには・・・・


前回、上司を唸らせる資料を作成するには、まず、目的をサブ目的に分解することと書きましたが、具体的にどのようにすれば分解できるかについては書きませんでした。

 

ビジネス書で、提案書は「こうまとめる」とまとめる項目が一覧化されている場合もあります、単純にそのまま真似しても、その時上司に求められている内容に合っているかはわかりません。

 

定型的な資料でない限り(お客様への提案書等は多かれは少なかれ、初めての部分があるはずです。)何を書いたらいいのかを悩んでしまうことも多いと思います。

 

最も大事なことは、書き手が何を伝えたいか、読み手が何を求めているかをはっきりとわかることです。その上で、目的に応じて必要な内容を盛り込むことが求められます。

 

目的をサブ目的に分解するには・・・・ 


サブ目的は、目的を果たすために、通過しなければいない一里塚のようなもので、ゴールにたどり着くために複数設定できると思います。

 

ここでは、難しく考える必要はありません。あなたが読み手であったら何が必要かを考えるだけです。

前回の新製品の開発計画であるなら、もし、あなたが社長の立場だったら、意思決定するのに何を知りたいと思うと考えますか?私が社長なら

  • 新製品っていうけど、売れるの?(誰が欲しがるの?どのくらいユーザーが見込めるの?)
  • 売るにはどのくらいの何をどのくらいすればいいの?
  • 売ったら利益がでるの?投資は回収できるの?

ぐらいのことは知りたいと思います。

 

自分で知りたいことがわかれば、これが、サブ目的の設定の入り口です。知りたいことをさらに、具体化していきます。例えば、「新製品っていうけど、売れるの?」に対しては、例えば

  • 市場(買い手)はどんな人・会社?想定する買い手は増えているの、減っているの?⇒市場規模全体動向、市場セグメント別市場規模動向
  • 競合に勝てるの?⇒競合製品との比較(いい点・悪い点)・競合他社動向

のようにより具体化して知りたいことが設定できると思います。これが、サブ目的です。

 

サブ目的に分解が難しい場合には・・・・ 


目的はわかってもサブ目的に分解する方法が、すぐにはイメージがつかないケースもあるかと思います。その時に役立つのが、「リバースエンジニアリング」です。

 

同様な目的で作成された優れたドキュメントを、目的・サブ目的レベルに分解することで書き手がどのようにこのドキュメントを作成したかを解明することができます。

 

これについては、また、詳しく書いていきます。

目的から考えるとうまくいく!

仕事でこんな経験ありませんか・・・・


仕事で上司から「○○の資料の準備を頼む。」と言われて、一生懸命やって提出すると「これじゃあ、使い物にならないよ!」とつれない返事。 

このような場合には、ほぼ間違いなく、上司が求めているゴールをイメージできていなかったことが原因です。(部下が仕事の内容を理解できているかを確認するのも上司の仕事ですよね。)

逆に、「いいねえ、想像以上だよ。」のようないい反応がある場合には、上司の期待以上の結果を出したときです。

 

上司の頭の中は・・・・


上司の頭の中には、(意識していない場合もありますが)作りたい資料の

  • 使う目的(何のため)
  • 合格水準(どこまで作り込んであるか)

の二つがあります。この二つを理解していないといい結果は出せません。特に、目的の理解が間違っていると致命的です。

「これじゃあ、使い物にならないよ!」の場合は、目的を明確に把握せずに作業だけに集中してしまったケースが多いと思います。

「目的」を正しく把握できたら、期限内に合格水準をこえる努力をするのみです。 

 

目的を外さないためには・・・・


目的を外さないためには、作業に入る前に、「目的から考える」ことです。

上司に目的を確認することが最初の一歩ですが、私の経験でも上司もはっきりと言語化できていない場合もままあります。ここは、簡単に引き下がらないでディスカッションしておくことが重要です。

 「目的」がはっきりしたら「サブ目的」に分解します。「サブ目的」とは「目的」を達成するために必要となるパーツと考えるとわかりやすいと思います。

 

例えば、新製品開発稟議のための資料をつくるなら・・・・


例えば、新製品の開発稟議のための資料を作る場合には、目的とサブ目的は以下のようなると思います。

目的:社内の意思決定者(社長や取締役会など)に開発の投資を納得して承認していただくこと

この目的達成のためには、意思決定者が意思決定するに必要かつ十分な情報を提供することが求められます。したがって、意思決定に必要な情報のパーツの提供がサブ目的となります。

サブ目的:(以下の各点を明確に示すこと)

① 新製品は成功の可能性があるのか

  • 市場動向(対象としている市場全体や細分化したセグメントが延びているのかその逆か)
  • 競合製品・競合他社動向(現在の市場の各製品の位置付けとシェア、他社戦略)
  • 新製品の特長(既存の競合製品と何が違うのか)
  • 新製品の狙う市場セグメント特性(お客様はだれで、なぜ新製品を求めるか、販売チャネル構造)
  • 新製品の市場への浸透可能性

② 新製品を販売するにはどうするか(開発から製造、販売まで)

  • 開発計画(開発期間、開発人数、開発コスト)
  • 製造計画(製造方法、製造設備への投資、原価想定)
  • 販売戦略(価格設定、販売数量予測、販売チャネルアプローチ方法、営業・販売コスト)

➂ 新製品を販売したら利益がいつどのくらい出て、投資が回収できるのか

  • 売上・利益計画(利益がいつどのくらい出るのか)
  • 投資回収計画(投資額は全体でどのくらいかかり、いつ回収できるのか)

 

目的とサブ目的を作業に入る前に上司に確認する・・・・


上記の例のように目的を明確にしサブ目的まで分解したら、作業に入る前に、上司に確認することをお勧めします。これをすることで、目的を共有していない場合の悲劇は防ぐことができると思います。是非お試しください。

知のリバースエンジニアリングをやってみよう!その2

前回は、「桃太郎」を分析してみましたが、今回はお姫様が主人公の3つの話を分析してみます。題材は、次の3つです。

  • 白雪姫
  • シンデレラ
  • 眠れる森の美女

ディズニー映画で見られた方も多いのではないでしょうか。

念のため、あらすじです。(いろいろな版がありますが、ディズニー映画を
ベースにしています。)

【白雪姫】

1. 白雪姫を産んだ後お后がなくなり、王様が再婚。その後王様も他界。

 お后(継母)は、白雪姫が成長するにつれて増していくその美しさを妬む。

2. 猟師に殺害を命令。

3. 猟師に見逃してもらった白雪姫は森をさまよい、7人の小人たちと出会い、

 助けてもらう。

4. 白雪姫が生きていることを知った継母は、老婆に姿を変え7人の小人の家に

 いき、毒リンゴを白雪姫に食べさせます。白雪姫は息が止まります。

 白雪姫の身に起こったことを察知した7人の小人は継母を追い詰め、白雪姫の

 かたきをとります。

5. 7人の小人は、死んだ白雪姫をガラスの棺におさめ悲しんでいると

 王子が訪れ、白雪姫の美しさに惹かれキスをします。その時、毒リンゴが

 のどから飛び出し白雪姫は生き返ります。

6. その後は、白雪姫は王子様と結婚し幸せに暮らしました。

 

【シンデレラ】

1. シンデレラは、裕福な一家に生まれたが、早くに母親が亡くなり、父親が再婚。

 その後に父親も他界。

 継母とその連れ子の姉がシンデレラに辛く当たり召使のように扱う。

2. 王子様の結婚相手を選ぶ舞踏会が催されシンデレラも行きたいと願うが

 せっかくのドレスが姉たちに破かれてしまう。

3. 父との思い出の噴水で泣いていると妖精の老婆が現れ、魔法で、

 ドレス、馬車、御者を出してもらう。シンデレラは舞踏会に行く。

 継母が姉を王子に紹介しようとするが、その時現れたシンデレラの

 美しさが王子の心を射止める。夜の12時に魔法が解けるため、シンデレラは、

 宮殿を逃げ出したが、ガラスの靴を片方落としてしまう。

4. 王子は、この靴を手掛かりにシンデレラを探しに来るが、継母がシンデレラを

 王子と会えないように部屋に閉じ込める。動物たちがシンデレラを部屋から逃がす。

 王子たちが持ってきたガラスの靴は継母に壊されてしまう。

5. シンデレラが持っていたもう一方の靴によりシンデレラが王子が舞踏会で

 出会った娘であることが判明。

6. シンデレラは、王子と結婚し、幸せに暮らしました。

 

【眠れる森の美女】

1. ある国に待望の王女が誕生。

 国をあげてのお祝いの席で妖精から王女に贈り物が与えられるが、

 招かれなかった魔女が怒る。

2. 魔女が王女に16歳の誕生日に糸車で指を刺して

 死ぬ呪いをかける。まだ、贈り物をしていなかった妖精が、

 死ぬのでなく眠るだけに呪いの力を弱める。

3. 魔女の呪いから守るため3人の妖精が王女を森の小屋で育てる。

 16歳の誕生日の前日に王女は、すてきな王子と出会う。

4. 王女の居場所を突き止めた魔女により、呪いは成就し、王女は眠りにつく。

 城にいる人々も全員眠りにつく。呪いを解くカギが王子であることを

 気付いた魔女が王子を閉じ込める。妖精が王子に魔法の剣と盾を与え、

 王子は魔女と戦い倒す。

5. 王子が眠っている王女にキスをすると魔法が解け、王女は目をさます。

6. 王女は、王子と結婚し、その後は幸せに暮らしました。

 

この3つのおとぎ話は、子供の自立のプロセスを説明するプレゼンテーションと

考えて、リバースエンジニアリングしてみましょう。

 

これらのお話では、子の自立(目的)を達成するためには

  • 「親との対立(サブ目的1)」があり、
  • 「戦い(サブ目的2)」があり、
  • 最後は「勝利(サブ目的3)」することが、

必須要素となっています。

 

3つのお話は、以下の共通の構造を持っていると読み取れます。

1. 親(世代)と子(世代)の潜在的な対立の発生

 将来の決定的な対立を予感させる世代間の確執が発生します。

  • 白雪姫では、継母が白雪姫の美しさに嫉妬します
  • シンデレラでは、継母と姉に召使のように扱われます
  •   眠れる森の美女では、招かれなかった魔女が怒ります。 

2. 対立が表面化する事件が発生

  とうとう親と子の戦いが起こります。

  • 白雪姫では、継母が猟師に殺害を命令します
  • シンデレラでは、せっかくのドレスが引き裂かれてしまいます
  • 眠れる森の美女では、魔女が呪いをかけます

 

3. 子が逃避し仲間と出会う

 親との戦いに負け、子は敗走し身を隠します。そして、助けてくれる

 仲間と出会います。

  • 白雪姫では、7人の小人の家に身を隠します
  • シンデレラでは、 父との思い出の噴水で妖精の老婆と出会います
  • 眠れる森の美女では、3人の妖精が王女を森の小屋で育てます

4. 再び親世代と子世代(仲間と共に)が戦い、子は親は倒すが子も大きな痛手をうける

  再び戦いが起こりますが、今回は子は仲間と力を合わせ親と戦います。

  親を倒すことはできますが、子も大きな痛手を受けます。

  • 白雪姫では、小人たちが魔女を倒しますが白雪姫が毒リンゴで息が止まってしまいます
  • シンデレラでは、動物たちが閉じ込められていたシンデレラを救いますが、継母にガラスの靴は壊されてしまいます
  • 眠れる森の美女では、妖精の力を借りた王子が魔女を倒しますが、王女は呪いのため眠ってしまいます

5. 子が受けた痛手をいやす奇跡が起こる

 状況を一変させる奇跡が子を救います

  • 白雪姫では、王子のキスで毒リンゴがのどから飛び出します
  • シンデレラでは、もう片方のガラスの靴がシンデレラが舞踏会の娘であることを証明します
  • 眠れる森の美女では、王子のキスで王女は目を覚まします。

6. 子は自立

 親から自立し新しい世界に子が旅立ちます

  • 3人とも王子と結婚し、その後は幸せに暮らします

 

このように見てみると、3つの物語がどのように作られているか

がはっきりとわかります。

 

この構造を活用すると、必要な材料を集めることで、

オリジナルの「子の自立」の物語を作成することが可能となります。

 

同じようにできる人のアウトプットを分析してみては如何でしょうか。

真似でない