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~知のリバースエンジニアリングのすすめ~

新聞コラムをリバースエンジニアリングする!(3)

コラム「春秋」の構造からコラムを書いてみる・・・・


前回、2021/8/18~2021/8/20の3日間の日経朝刊のコラム「春秋」の基本的な構造を解析してみました。以下のようになっていました。

  • 第一段落:第三段落の著者の考え方をサポートする事例などを紹介
  • 第二段落:第一段落を展開し、第三段落につなげる
  • 第三段落:報道内容等に対する著者の基本的な考え方・スタンスを提示
  • 第四段落:基本的な考え方から、現状の評価や希望や願いを提示

この基本構造を使って「春秋」風のコラムを書くことをしてみましょう。(これは、社内の営業提案書や企画書などで評価の高いものをリバースエンジニアリングして構造を明らかにしたのちに参考にして書く時も同じプロセスです。)

 

これは私の想像ですが、何を書くかを決めてから、つまり、第三段落や第四段落の概要を決めてから第一、第二段落の材料を集めているのではと思います。

 

言いたいことを決める・・・・


まず、何を書くかですが、時事関連で書くとすると、やはり新聞やTVやレポートをみて何か強く感じたことや意見を持ったことを書くのがいいと思います。

  • 今後こう変化するにちがいない
  • こうあるべきだ
  • これはおかしい
  • 賞賛すべきことだ
  • ・・・

のようなものをまず見つけます。例えば、新聞をみていたら「ヤフー東京拠点縮小 4割減 進む在宅、オフィスに転機」という記事を見つけました。この記事を読んで次のように思いました。

  • 昨年、コロナにより在宅勤務が急速に広がった。ヤフーは今後も在宅勤務が続くと判断したのだな。(不動産産業は、何か手を打つ必要がある)
  • 在宅勤務は、物理的な勤務場所という制約を取り去った新しい働き方。やり方によっては劇的な生産性向上の可能性もあるのではないか。(スマートフォンの普及で我々の生活が大きく変わったように)
  • 会社からすれば、今まで不可能だった地理的に離れた優れた人材の活用が可能となり、働き手側も、自分の能力を発揮できる地理的なエリアが一挙に広がる。
  • ただ、現在主流のWeb会議で打ち合わせをする方法だけでは、生産性向上には、つながらないのではないか。
  • 会社も働く人も意識を変える必要がある。いままでの当たり前を否定したら、どんな新しい価値を創造できるかという発想で行動すべき。
  • やりがいをさらに感じたり、新しいビジネスチャンスを発見したりできる可能性はあるが、一方で、新しい働き方に慣れない人や会社が、取り残されることも起こりうるだろう。
  • この変化は、政府の音頭取りを待つのでなく、一人一人ができることから、工夫をして変わっていくのが現実的なのではないか。現場が強いと言われる日本の特性を発揮できるのでないか。

 

コラムを後半を考える・・・・


以上の言いたいことのアイデアから後半部分を考えてみると

  • 第三段落では、まず、ヤフーの記事の紹介をし、在宅勤務が新しい当たり前になっていく時代であることを書きます。そして、新しい働き方には、劇的な生産性向上の可能性があり、それが実現できた会社や人には大きなチャンスをもたらすことを主張します。
  • 第四段落では、まず、一方で取り残される会社や人も出てくる可能性があることについて注意喚起をします。一人一人が意思して工夫をすべきであることを説明して締めます。

 

コラムの前半を考える・・・・


次は、前半です。在宅勤務と同様に、地理的な制約をなくすものとして、自分のアバターを使って仮想空間に入り込んで活動するメタバースが注目されています。仮想空間でない現実の世界に対しても、ロボットを使って、物理的な現場に行かずとも同様な活動が可能となる未来も近づいているようです。また、「アバター」といえば、映画の「アバター」を連想する人も多いと思いますね。これを使って、前半は次のようにしたらどうでしょうか。

  • 第一段落では、映画「アバター」の内容を紹介し、アバターが可能性を広げる話として説明します。
  • 第二段落で、現実世界で「アバター」を使うメタバース技術が注目されている話を書きます。フェイスブックや他のスタートアップ企業が技術開発をしていることを紹介し、メタバース技術が可能性を大きく変える技術であることを説明します。

 

コラムの概要をまとめる・・・・


書き始める前に、概要を見直します。前半の情報をうまく第三、第四段落にも反映させることが必要と思います。第三段落の在宅勤務が生産性を大きく改善する可能性については第二段落の内容と関連付けることが必要と思います。

第四段落には、第一段落の映画「アバター」の話を関連付けるといいと思います。さて、ここまで準備ができたら、次はコラムを書くだけです。

 

次回では、上記の段落別の概要を使ってコラムを書いてみます。